Now Where's My Wine?

シドニー在住、現地法人でワインに従事するフロスト結子です。オーストラリアから楽しいワイン情報を発信します。

カテゴリ: 読書ノート

あけましておめでとうございます。
2022年こそは!もう少しマメにブログを更新して行きたいと思います。ホンマかいな

シドニーは絶賛オミクロン株が猛威を奮っていて
仕事も家族も振り回されましたが
コロナのニュースは本当にお腹いっぱいだと思うのでこの辺で。

また今年もボチボチと、楽しいワインや本やシドニーライフをお届けしていきます。
では、早速去年いただいた素敵な贈り物を一つご紹介。

All our shimmering skies


2020年10月のことです。
ひょんなことからオーストラリアで今最もホットな作家
Trent Daltonさんからメールをいただき、彼の小説の翻訳修正に携わりました。
このブルーの表紙は、その修正を反映させて昨年出たばかりの改訂版です。

ちなみに初版はこんな感じでした。
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この小説の主な登場人物の一人として、
ユキオという名前の日本人の飛行兵が出てくるのですが
その彼の日本語のセリフの翻訳が初版は本当にビックリするぐらいお粗末でした。
で、私がそれを某レビューサイトに書いたのです。
このダメな翻訳さえなければ星5つだったのに・・・
それがどうにかこうにかしてTrentさんご本人の目に止まり、ソーシャルメディアのアカウントを介してご連絡をいただき
「ぜひユキオのセリフの翻訳修正を手伝ってほしい!」と熱いメッセージをいただいたのでした。

Trentさん、普段からソーシャルでファンとマメに交流する方ではあるのですが
まさかいきなりDMいただくとは思いませんでしたよ。
そこからメールのやり取りを何度かさせていただき、次回の改訂版の出版に至ったわけです。

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サインとメッセージ入り💞

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この改訂版が発売されたのは去年の8月、シドニーはまだロックダウン中で本屋さんも閉まっていて
著者ご本人様が改訂版を送ってくださったんです。
そしてここ!ここみて

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名前載せてもらっっちゃったったっったった(エラー)
(つд⊂)ゴシゴシΣ(・ω・ノ)ノw(゚o゚)w オオー!


ページに自分の名前確認した時にビックリして跳び上がりました。
本当にその場でピョンピョン跳んだ。
しかもWonderous Yuko Frost。
私、Trent Daltonにワンダラスって言われたよ。

All Our Shimmering Skiesは
戦時中のダーウィンで父と叔父と暮らす孤独な少女モリーと
女優のグレタ、日本兵のユキオが
アウトバックのオーストラリアを舞台に繰り広げる冒険の物語です。
モリーは空と会話をし、一人で当てもなく歩き回るのが好きな無垢な少女。
叔父は暴君で実父は事なかれ主義。
墓掘りを生業としていて、モリーをこき使い、時に暴力も振るう。
唯一愛してくれた母は、ある日突然彼女を置いて姿を消す。
空から贈り物を送るから、と言って。

モリーは自分達の家族が「呪われている家族」だと思っていて、
それはかつて祖父のある行動が原因だと思っている。

そんな中ダーウィンが日本軍から爆撃を受け、街が破壊される。
何もかも失ったモリーはこれをきっかけに
家族の呪いを解くためにオーストラリアの奥地(アウトバック)へ出かけることにした・・・

 



これ、違う改訂版みたいなんですけど、私の翻訳反映されてるかな?
ちょっと誰か買ってみて・笑


ご自身の書いた本のキャラクターをご自身の家族のように
あるいはご自身の分身のように語るTrentさん
とても素敵な方です。
不思議なご縁とお仕事に感謝です。

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Honeybeeと同じ作者のヒット作、Jasper Jonesです。
映画化もされているミステリー小説で、
舞台はベトナム戦争の頃の西オーストラリアの田舎町。

14歳の本好きの少年チャーリーを真夜中に訪ねてきたのは、
アボリジニの年上の少年ジャスパー・ジョーンズ。
そんなに仲が良かったわけでもないのに、突然訪ねて来たわけは
助けて欲しい、そう言われてジャスパーと共に森の中へ入っていくと
そこにはローラという少女の首吊り死体が。
ローラはジャスパーの恋人だった。

「殺したのは僕じゃない」

アボリジニというだけで普段から町の人から疎まれているジャスパー、
このままだと大した調査もされないまま、自分が犯人にされる。
賢いチャーリーなら信じてくれる、助けてくれると思ったのでした。

ベトナム戦争中のオーストラリア、田舎の特に閉鎖的な町で
戦争、人種差別、貧困と混沌とした時代に人々がどんなふうに生きていたのかが繊細に描かれています。
ローラの死に関わっていたのは誰かはなんとなく予想がつくのですが
そこは最重要なポイントではない気がします。

精神的に追い込まれた人間の弱さとか醜いところとかを描く残酷な描写もあるけれど
そんな中でもちゃんと、傷ついた子供に正しいことを言う大人がいたり、という希望の光もあり
悲しいシーンが多い話ではあるけれど、いつも希望を持たせてくれる彼の描写が私は大好きです。
なんか書いていてまた泣けてきた・・・( ;  ; )ううっ。

クレイグ・シルビーの描く少年たちは本当に愛おしい。
キャラクターに真摯に愛情を注いで描く作者だなと思いました。


Jasper Jones
Silvey, Craig
Ember
2012-03-27








映画もすごく良くできていて、本をよく再現しているなと思いました。
トニ・コレット(アバウト・ア・ボーイのお母さん)や
ヒューゴ・ウィーヴィング(ロード・オブ・ザ・リングの王様役)など
オーストラリアの名優たちも出演しています。

ワインは西オーストラリア出身の作者と、舞台にちなみ
西オーストラリアのマーガレット・リヴァーの名ワイナリー
ヴァセ・フェリックスのスパークリングにしました。



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先週からロックダウンに入りましたシドニーです。
仕事は再び完全在宅勤務になりました(←嫌い💦)。
一気に去年まで巻き戻った気分です。

さて、今日の読書ノートはThe Dictionary of Lost Words

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です。

イギリスはオックスフォードが舞台となっていますが
作者Pip Williamsはオーストラリア人の方です。


The Dictionary of Lost Words (English Edition)
Williams, Pip
Affirm Press
2020-03-31


時代は1901年、世界最初のオックスフォード英語辞典を制作するその舞台裏で
辞書に不掲載となった「ことば」を集めた少女、イズメイの一生を綴った物語です。

父親がオックスフォード辞典の作成に関わっていたことから
就学前からことばに興味を持ち始めます。
オックスフォードの辞書に掲載する言葉を選択、その意味を定義づける作業を横目で見ているうちに

言葉の中には辞書に採用されない、存在しないとされる、あるいは忘れられていく言葉が多くあると気づきはじめます。
当時は辞書に関する決定事項は、主に高学歴な男性だけが関わっていたため
女性しか使わない言葉、特に労働者しか使わないスラングのような言葉の多くは
辞書に載ることはなかったようです。でもこれらの言葉は確実に生きていて、存在しているのに。

イズメイは、こういった辞書に載らない言葉たちを集め続けます。
そして少女から大人へと成長する過程で離別、恋、戦争、結婚、そして仕事と
人生を歩んでいきます。
言葉に価値を見出し、一生を捧げた女性。

個人的にお話の中で、特にすごく重要な要素ではないけれど
とても印象に残ったアイテムがマデイラケーキ、とエスペラント語でした。

お話の中には、当時の英国で一般的であったであろう「マデイラ」というケーキがよく出てきます。
酒精強化ワインのマデイラを使ったケーキかと思いきや、
ケーキ自体は普通のスポンジケーキで
マデイラと一緒にサーブされたそうです。
美味しそうだなぁ。

この頃マデイラも上流階級ではよく飲まれていたお酒なのでしょうね。

バーベイトマデイラ スイート750ml
木下インターナショナル

マデイラが手元になかったので、お花っぽいロゼにしました。
花もよく出てくる、春らしい色彩の見えるお話でしたので。


そして、このお話の中にはエスペラント語という言葉が出てくるのですが
これは19世紀に開発された「国際共通語」です。
実用には結局至っていませんが

外大出身の私、実は大学に「エスペラント語」の講座があったんです。
たぶん、日本でもエスペラント語の授業がある大学なんて、1−2校だったと思うので
相当マニアックな授業であったかと・・・・私は受けてませんが。

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もしもあの時こうしていたら、違う人生だったかもしれない。
誰しも一度はそう思ったことがあるのではないでしょうか。
主人公は30代の女性、家族や友達とは疎遠、独身、子供もいない、失業し、飼っている猫まで死んだ。
何もかもうまくいかなくて、誰にも必要とされていないことに絶望し
ついに自殺を図る。

気がつくと「真夜中の図書館」にいた。
そこにいたのは小学校の図書館に居た司書の女性。
そしてこの図書館にあるたくさんの本は全て、「彼女がこれまで選んだかもしれなかった人生」だと言う。

もしあの時当時の恋人と結婚していたら
もしあの時親友と一緒にオーストラリアに行っていたら
もしあの時水泳をやめていなかったら

図書館の中にある本を選ぶことで、「かもしれなかった人生」をいくつも体験していく主人公。
どんな選択をしてどんな結果になったところで最終的には自分の人生は自分のもの。
そして、そこからどうするか。

ドラえもんの「もしもボックス」を思い出しました。


著者のマット・ヘイグは鬱に関する本をいくつか出していて
ご本人も鬱に苦しんでいた時期があったそうです。
人生何もかもうまくいかない時
半ばライフコーチのような本でした。
正直私にはちょっと説教くさいなーと思ったけど
もう少し若い時に読んだら、もっと心に響いたのかもしれません。
最後もこうなるだろなと言うのが予測しやすい展開だったように思います。


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ワインは、優しい泡がいくつも立ち上り消えていくスパークリング・ワイン、Croserにしました。
20−25ドルという実に気軽なお値段なのですがちゃんと伝統方式のハイクオリティなスパークリング。

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夫に誘われてあまり深く考えずに観た映画MINAMATA。
Minamata

映画で泣くことってあまりないのですが、
図らずも、基本ずっと泣いてました。


日本の「四大公害病」として教科書にも載って学校で習った「水俣病」がテーマ。
一番衝撃だったのは、これは終わった「歴史」ではなくて
今も後遺症に苦しみ闘っている人たちがいると言うことでした。
日本で学校の教科書で習うこと、っていまいち現実味帯びてないこと多くないですか。
特に「歴史の一部」として習うと、現代へのつながりをいまいち実感しづらい。
歴史の勉強は、テストで空白を埋めるために単語を覚えるだけじゃなくて
これまでの戦争や疫病や政治的な事件が
今を生きる私たちにどう繋がっているのかを、ちゃんと学ぶ勉強をしなければいけないんだと
今回改めて痛感させられました。

映画は70年代に水俣病の惨状を取材したアメリカ人の写真家、ジーン・スミス(ジョニー・デップ)
が水俣を訪れ、地元の人々と過ごしながら取材を続けた時の物語です。
美しい風景の中に描かれる人々の戸惑い、怒り、悲しさ。

一つ驚いたのが日本のよく知っている(と思っていた)俳優さんたちが
全然違う人に見えたことです。
英語を話していたから、あるいは時代背景の髪型とか服装もあったのかもしれないですが
特に美波さんと加瀬亮さん。
美波さんは、馴染みのあるお顔なはずなのに、
今まで観てきた日本のドラマなどの印象と違いすぎて
本当に後半ぐらいまで誰だかわからなかったです。
こんなに力強い演技ができる人なんだなぁとビックリ。

個人的には役の中で彼女が「私、今のそれ、訳さないからね?そんなこと言って良いなんて思うなよ?
と一言も発せずに、目力だけであのスター俳優のジョニー・デップに訴えているところが
すごくよかったです。個人的に通訳としてその気持ちもめっちゃわかった、って言うのもある。
負けてない・・・!!😲
他にも浅野忠信さん、真田広之さん、國村隼さんと名優が名を連ねます。


全力でお勧めです。
1回で十分すぎるほど力強く揺さぶられる作品なので
再び観ることはきっとないでしょうが
「もう一度『初めて』観られたらいいのに」と思える作品でした。

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