Now Where's My Wine?

シドニー在住、現地法人でワインに従事するフロスト結子です。オーストラリアから楽しいワイン情報を発信します。

カテゴリ: 読書ノート



もしもあの時こうしていたら、違う人生だったかもしれない。
誰しも一度はそう思ったことがあるのではないでしょうか。
主人公は30代の女性、家族や友達とは疎遠、独身、子供もいない、失業し、飼っている猫まで死んだ。
何もかもうまくいかなくて、誰にも必要とされていないことに絶望し
ついに自殺を図る。

気がつくと「真夜中の図書館」にいた。
そこにいたのは小学校の図書館に居た司書の女性。
そしてこの図書館にあるたくさんの本は全て、「彼女がこれまで選んだかもしれなかった人生」だと言う。

もしあの時当時の恋人と結婚していたら
もしあの時親友と一緒にオーストラリアに行っていたら
もしあの時水泳をやめていなかったら

図書館の中にある本を選ぶことで、「かもしれなかった人生」をいくつも体験していく主人公。
どんな選択をしてどんな結果になったところで最終的には自分の人生は自分のもの。
そして、そこからどうするか。

ドラえもんの「もしもボックス」を思い出しました。


著者のマット・ヘイグは鬱に関する本をいくつか出していて
ご本人も鬱に苦しんでいた時期があったそうです。
人生何もかもうまくいかない時
半ばライフコーチのような本でした。
正直私にはちょっと説教くさいなーと思ったけど
もう少し若い時に読んだら、もっと心に響いたのかもしれません。
最後もこうなるだろなと言うのが予測しやすい展開だったように思います。


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ワインは、優しい泡がいくつも立ち上り消えていくスパークリング・ワイン、Croserにしました。
20−25ドルという実に気軽なお値段なのですがちゃんと伝統方式のハイクオリティなスパークリング。

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夫に誘われてあまり深く考えずに観た映画MINAMATA。
Minamata

映画で泣くことってあまりないのですが、
図らずも、基本ずっと泣いてました。


日本の「四大公害病」として教科書にも載って学校で習った「水俣病」がテーマ。
一番衝撃だったのは、これは終わった「歴史」ではなくて
今も後遺症に苦しみ闘っている人たちがいると言うことでした。
日本で学校の教科書で習うこと、っていまいち現実味帯びてないこと多くないですか。
特に「歴史の一部」として習うと、現代へのつながりをいまいち実感しづらい。
歴史の勉強は、テストで空白を埋めるために単語を覚えるだけじゃなくて
これまでの戦争や疫病や政治的な事件が
今を生きる私たちにどう繋がっているのかを、ちゃんと学ぶ勉強をしなければいけないんだと
今回改めて痛感させられました。

映画は70年代に水俣病の惨状を取材したアメリカ人の写真家、ジーン・スミス(ジョニー・デップ)
が水俣を訪れ、地元の人々と過ごしながら取材を続けた時の物語です。
美しい風景の中に描かれる人々の戸惑い、怒り、悲しさ。

一つ驚いたのが日本のよく知っている(と思っていた)俳優さんたちが
全然違う人に見えたことです。
英語を話していたから、あるいは時代背景の髪型とか服装もあったのかもしれないですが
特に美波さんと加瀬亮さん。
美波さんは、馴染みのあるお顔なはずなのに、
今まで観てきた日本のドラマなどの印象と違いすぎて
本当に後半ぐらいまで誰だかわからなかったです。
こんなに力強い演技ができる人なんだなぁとビックリ。

個人的には役の中で彼女が「私、今のそれ、訳さないからね?そんなこと言って良いなんて思うなよ?
と一言も発せずに、目力だけであのスター俳優のジョニー・デップに訴えているところが
すごくよかったです。個人的に通訳としてその気持ちもめっちゃわかった、って言うのもある。
負けてない・・・!!😲
他にも浅野忠信さん、真田広之さん、國村隼さんと名優が名を連ねます。


全力でお勧めです。
1回で十分すぎるほど力強く揺さぶられる作品なので
再び観ることはきっとないでしょうが
「もう一度『初めて』観られたらいいのに」と思える作品でした。

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今週の読書ノートです。

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Where The Crawdads Sing
これは去年読んだ本の中でも特に印象に残った作品の一つ
場所は1960年代後半のノースカロライナ
まだ黒人差別が露骨に残る時代

6才で母親に置き去りにされ、兄も姉も出ていき
暴力を振るい働かない父と二人きり
村の人には「湿地の娘」と呼ばれ
煙たがられ蔑まれつつも
ほぼ放置子のようになりつつも
美しい大自然の中で一人強く生きてきたカイヤ。

カイヤが大人に成長したある日、村のある青年が不審死で見つかり、カイヤに疑いの目が向けられる。


Where the Crawdads Sing (English Edition)
Owens, Delia
Corsair
2018-11-08


ザリガニの鳴くところ
ディーリア・オーエンズ
早川書房
2020-03-05





美しい自然とカイヤの凛とした生き様が交差する
美しいサスペンス・ストーリーです。
彼女の描くスケッチが手にとるように美しく表現されています。

小さな村で疎まれ学校にもうまく馴染めず
それでも数人の親切な大人に愛され孤独の中でも賢く育っていくカイヤ。
少女から女性へと成長していくカイヤに訪れるロマンスとサスペンスに最後までずっとドキドキしっぱなしです。

ザリガニの鳴くところ、というのは表現で「人が誰も来ないような自然の中のずっとずっと奥」という意味らしいです。

日本でも本屋大賞翻訳小説部門を受賞したんですね😳

ワインはニュージーランドのバイオダイナミックの生産者
ピラミッド・ヴァレーのリースリングです。
ヴィンテージなんだったかは忘れちゃいましたが
結構熟成してました。
カイヤの描く絵を思わせる綺麗なラベルです。
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ノーベル文学賞受賞者のカズオ・イシグロの最新作を読みました。

Klara and The Sun




ドライな文章の中に通常とは違う語彙の使い方がされていて
読者はストーリーを読み進める中でだんだんとその真意を理解していくという
Never Let Me Goとの共通点も見えたストーリーですが
背景はまた全然違っていて今回はAIのお話。

AIを子供の「ともだち」として購入する世界で生きている”AF(Artificial Friend)”のKlaraと
人間の少女で病弱なJosieの交流。
物語はAIのクララの目線で語られ
クララは見るもの全てをそのままに受け止め学習していく。

読んでいくうちに、あるいは読み終わったずっと後で段々と言葉の意味がわかり背筋が寒くなることもあり
カズオワールドの深さに引き込まれていきます。

それでもクララの優しさとピュアリティが
とても寒い冬の朝に見つけたひだまりのような希望と温かみがある気がしました。



ワインは冷たい空気の中でも温かく光るような
ビーチワースのフィアノを選びましたよ。
ジャスパーズ・ヒルのセカンドラベル?Lo Stesso Lo Stesso。
Klara and The Sun

クララとお日さま
カズオ イシグロ
早川書房
2021-03-02





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少し前に読んだ本の感想を書きます。

オーストラリアの作家Craig Silveyの最新作、Honeybee。
西オーストラリアのパースが舞台になっています。
トランスジェンダーの少年サムと、彼を取り巻くヤクザな大人たち
絶望して死のうと思ったサムと出会った一人の孤独な老人との交流から始まる物語。
最初はすごく読むのが辛いほど暗くて悲しくて、
それでも著者のキャラクターへの愛情が伝わってきてじんわりと温かくなる。
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最初はSamの境遇がすごく可哀想で本当に悲しいけれど
最後はちゃんと温かな希望の光に包まれて終わります。
これからたくさんの試練で打ちのめされそうになっても
きっと大丈夫になるよ
複雑でいろいろなチャレンジの中を生きる今の若者たちに
そんなメッセージが込められているような気がしました。

西オーストラリアのお話&作家のお話なので
西オーストラリアのワインHoughtonを合わせてみましたよ。
マルベリーとダークチョコレートを合わせたような
カベルネとマルベックのブレンドです。

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